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2006/3/27


「副隊長、前から思ってたんですけど、ちょっとデレが
    キツ過ぎやしませんか

「何? ナカジマ、それは一体どういうことだ」

「兄チャマ時代の名残かもしれませんが、少しばかり
    翠星石のミーディアムとして不足があるんじゃないかなと」

「翠星石のミーディアムとしての……不足?」

「じゃあ質問しますけど、もしも翠星石にポッキー買って来やがれと
     言われたらどうしますか?」

「そりゃ普通に買ってくるだろう」

「兄チャマとしてそれは正解でも、ミーディアムとしては不正解ですよ」

「なんと!」

「最初は『なんで僕が行かなきゃダメなんだ、のりにでも行かせろ』
     ゴネて、翠星石をキレさせる。そして、散々殴打された後に
     しぶしぶ出かけて『小枝』を買ってきてまた殴打されるというのが
     正解です」

「そんな問題解けるかよ……」

「翠星石のミーディアムってのは、あんまり従順じゃダメなんですよ。
    ちょっとたてつくぐらいじゃないと、ていの良い家来にされますからね」

「なるほど、叱ってやるとときめくタイプだな」

高飛車女は叱ってオとせ……ばっちゃが言ってました」

「……嫌なおばあちゃんだな」

「まぁ理論上はそういうことになるんですけど、問題は副隊長が
    『叱れる男』になれるかどうかなんですよ」

「言われてみれば、あんまり叱った事って無いな」

あまり下手なツンでは逆にヒかれます。女性は軽いスキンシップを
    交えて話すと好感を持つそうですが、あまり慣れない手つきでどうこうしても
    ただのセクハラにしかならないのと同じですね」

たかだか漫画のキャラにどうしてそんな苦労をしなくてはならんのだ」

「山田……こうやって想像力を鍛えることが、のちのちより良い
     ローゼン生活を作って行くのだ」

「そうだぞ。常に三次元と同じ土俵で二次元を捉えれば、
     普段見えない彼女と話したり風呂に入ったりすることも可能になる」

「そういうのを病気っていうんですよ……」

「副隊長、では早速ツンのレッスンです。
     『おいチビ、ちょっとは部屋を掃除しやがれですぅ! こんな所じゃ
     おちおち呼吸もできやしねーです!』

「うるさいな……い、嫌なら出て行けば良いだろ?」

「……良い感じにツンですが、一瞬『出て行けば〜』の下りで
     若干ちゅうちょしましたね

できることならずっと傍に置いておきたい翠星石に、
     出て行けなんて易々と言えるもんじゃないぞ」

「副隊長がJUM君なら、翠星石は滅多と部屋から出るような
    事はしない筈。もっと強気で良いんですよ

「私が手本を見せてやろう」

「隊長!」

『おいチビ、ちょっとは部屋を掃除しやがれですぅ! こんな所じゃ
     おちおち呼吸もできやしねーです!』

「はいはい、わかったよ……これでいい?」(足元の紙屑を捨てただけ)

「……パーフェクト」

「わからん……一体何がパーフェクトなのかが全くわからん……」

「元々はローゼン素人のお前達にローゼンを教える為に本部から
     来たわけだから、これぐらいはやっておかんとな」

「ナカジマよ、今のは一体どこが高得点だったのだ?」

「足元のゴミだけ片付けてやる、という所に余裕が見えました」

「余裕……!」

「だから、基本的にJUMは翠星石に萌えてないわけですよ。
     当然、真紅に対するツンと翠星石に対するツンは異なるわけです」

「今のお前のリアクションは、どちらかというと真紅に対する
     ツンだったな。いわゆる好きな相手に対するツンだ」

「翠星石へのツンは、慣れた友人に対するツンで対応すべきですね」

「……ナカジマよ、しかし、わしは思うのだ」

「……?」

「オトす技術は確かに必要かもしれんが、わしはそれでも
     真心というものを大切にしたい

「副隊長……流石隊で一番少年の心を忘れない男

ていの良い家来なら、別にそれでも構わん。わしはただ、
     翠星石の傍にいられればそれでいいのだ」

「ガラスの仮面に、お前みたいな奴が居たような気がする」

「……つきかげ先生の付き人でしたっけ」

「副隊長……男としてその台詞は失格ですが、
    漢としては大正解ですよ……」

「そういう生き方もあり……だな」

「副隊長、良いミーディアムになりましたねぇ

「そうかな……ハハハ、照れるな中々に」

「お前の気持ち、しかと理解したぞ」

「俺には少しも理解できないぞ……」

「ところで隊長、ついでに水銀燈のミーディアムになる方法も
     ご教授願いたいのですが」

「よし……まずは、常に『自分はいらない子』と思って生活する
     所
から始めるべきだな」

「しょっぱなからハードル高いな」

「まぁそりゃなんつってもあの水銀燈のミーディアムだから」

「できるかナカジマ」

「山田で試してからにしましょう」

「え!?」

「よしわかった。じゃあ、今日から山田の事を『いらない子』と
     呼ぶ事から始めようか」

「俺は水銀党じゃない!」

「まぁまぁ、そういうな……いらない子

「あんまり怒ると血圧上がるぞ、いらない子

「とっとと入院しろよいらない子

「いいかげんにしろっ!」

「すまん山田、今のはほんの悪いジョーダンだ」

「そう怒るなよ。みんなお前が良いヤツだってこと知ってるよ」

「そうだそうだ。悪かった……」

「ナカジマ……副隊長……」

「正確には、難病にかかる所からスタートだな」

「というわけで山田、ちょっと原発にでも行って来たらどうかな

「……いつかお前等のローザミスティカ全部持っていくぞ」




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