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2006/3/11 ねんがんのなにがし


ニンテンドーDS買いに、深夜並んだwwwww



全国1000万人の脇腹フェチのみんな、こんにちは!

今回のコラムは、今人気爆発の機体「ニンテンドーDS」の話だ。


日本中の中高年層が脳を鍛えたがってしまったばっかりに、

DSは慢性的な品薄に陥っている。新型の「DS Lite」が販売された日に

ヨドバシカメラなんかで大行列が出来たことは新聞にも掲載された、

正に社会現象と言うに相応しい大流行だ。


オークションなんかでもプレミア価格がつく始末で、もう日本のどこに行っても

売り切れている幻のハード。去年の正月ぐらいはショボいゲーム屋にも

ゴロゴロしていたと思ったらこの有様ですよ。これがいわゆる、

団塊世代の影響力ってヤツか? <今、ちょっとかしこい発言した!


本来ならば、もうエロゲー以外のゲームは殆ど卒業した僕であるから、

新聞を見ながら「ゲームごときでそりゃねぇだろwww」とか言っている所

なんだけれども、今回はそういうわけにはいかない。僕の弟(9さい)がやたらと

DSを欲しがってしまい、毎日呪詛のようにDSへの想いを口にしているのだ。

そんな弟とリビングでアニメを見ているとき、

CMで「どうぶつの森」が流れる度に漂うあの気まずさ。

普通に買えるようになるのは今年の初夏というウワサもちょくちょく流れているDS。

ああ、時代に踊らされている、確実に踊らされていると思いつつ、

「そんなにDSが欲しいなら、お兄ちゃんが買ってきてやろう!」

と、言ってしまった……。


もうすぐ進学の都合で東京に引っ越す事になった僕は、4年間は確実に

離れ離れになるであろう弟に、少しでも兄貴らしい事をしてやりたかったのです。

なにしろ歳の離れた弟ですので、あまりかまってやることもできず、

2つ下の弟とばかり遊んでいたものですから、やはりここでちゃんと

良いカッコ見せてやらんといかんなぁと思ったわけです。

別にイメージアップの為に言ってるんじゃないのよ?


「とりあえず、いらなくなったら俺に優先的にくれ」と言い残し、僕は

深夜0時に家を出て隣町のトイザらスへ向かった。


0時半ぐらいなら誰も並んでいないだろうし、まぁ様子を見て、誰もいなかったら

近くのネット喫茶で2時間ぐらい暇潰ししていようかなぁと思っていたが、

それが大きな間違いだった。そこは、小さな戦場だったのである。


僕は携帯イスを持ちながら戦慄した。ゴザ・毛布・携帯テーブルという

完全武装をし、家族総出で来ている人達というのがザラにいたものだから、

その時は流石に「DSをナメたらあかん」と、僕は痛切に感じた。

0時30分の時点で来ている客は目算で100人超。ネット喫茶どころじゃねぇ!


とりあえず最後尾に陣取り、家にいる弟1号の方にメールを送る。


 「今トイザらスについた。ヤバい。100人超えてる。救援を要請したい」


で、弟からの返事。


 「黄泉路へいってらっしゃい」


つくづくこの愚弟が! 「明日は部活がある」とかいう意味不明な理由で、

俺のDS徹夜購入を手伝わないとは一体どういう了見だ……?

しかし、寒い。気温自体はそんなに低くないものの、じっとしているから

血の巡りが悪くなるのか、とても冷えるのだ。


ああ、「夜道で逆レイプされた時に恥ずかしいから」という理由で

極力はきたくなかったモモヒキやら毛糸の靴下やらの効果も空しく、

体温は徐々に奪われて行く。こんな時には、暇潰し用に持ってきたCDを聴こう。

そうだ、「12人の天使達」を聴こうじゃないか……。


……心が暖まる。「小さなパンジー」は相変わらず何度聴いてもヘッポコな

感じだが、花穂の一生懸命な感じに物凄い元気付けられる。

脳の中に響く「お兄ちゃま、頑張ってv」の言葉。

うん、頑張るよ、花穂……もしもDSをねだってきたのが弟じゃなくて花穂だったら、

多分僕は10時ぐらいから並んでたんじゃないかな。

うん、花穂はいい子だなぁ、「黄泉路へ行ってらっしゃい」なんて言わないもの。


じっとイスに座っていると、飛行機でもないのにエコノミー症候群

なってしまいそうな気がして、CDも「いのり」(鞠絵の曲)がかかってきた頃には

本当に僕も鞠絵と同じように黄泉への道に片足を突っ込んでしまうような

気がしたので、ちょっと歩き回ることにした。


客層は老若男女様々。幼児から老人まで全世代をカバーしている感じで、

さすがニンテンドーDSかといった所。僕のように単身で乗り込んでいる人もいれば、

カップルで来ている人も居た。2人で1つの毛布に包まって、僕と似たような

メガネをかけている男めちゃくちゃエロい笑顔で暖をとっていた。

この男にDSを買わせてはならない……!

そう、思った。アンタら、別にDSのタッチペンで遊ばなくても、

2人で仲良くお箸でお互いの乳首でもタッチしてりゃいいじゃないの。


とりあえず、暇潰しの為に友達にメールを送ることにした。

最近ローゼンメイデンに凝っているという朋友ことHideに

「今、DSを買うために並んでいる」とだけ送信する。


すると、こんな返信がきた。


  「ちっ! よりにもよって人間ども、なんでゲームなんかで並ぶのですか。

  翠星石にはちっとも理解できないですぅ〜」


……奴め、「なりきり」を使う程にローゼン病が進行していたか!!


なんとなく、「これは俺も何かになりきって返信すべきなのか?」と考えてしまい、

とりあえずウロ覚えながら水銀燈のなりきりで返信することにした。


  「また心のコスプレぇ? ほんとぉにダメねぇ…ンフフフフv」


すると、Hideから


 「これだけで水銀燈に萌えた」


……萌えたと言われれば、元シスプリSS屋としてのプライドがくすぐられる!

やってやるさ、不慣れなローゼンメイデンだって! 

夜中はテンション、というか気が狂ってしまうのでしょうか?

僕は、Hideにローゼンなりきりチャットを提案。






  暇だから続行しましょうよォ……お父様のためにDSを買うんだから……

  アナタも手伝いなさいよォv 今からアナタのアドレス帳の「○○(僕の名前)」って

  名前を「水銀燈」に書き換えて……楽しい夜にしてアゲルわよぉ……ンフフv






……ヤっちまったよ……。





何故か「お父様の為にニンテンドーDSを買わなければならない」という

ムチャな設定を作りだし、僕の水銀燈作家としての道は始まったのであった。

なんていうか、色んな人にごめんなさいだよ。





  まったく、何を言ってるのかしら水銀燈、相変わらずおかしなコね……

  楽しい夜にするのは私の役目よ。あなたはただの引き立て役なのだわ。





……相手もノってきちゃったよ……。



若干、Hideの真紅口調には疑問が残るものの、まぁそれはローゼンを

コミックス1巻しか持ってなくて、アニメも実は全編の1/3ぐらいしか

見ていないローゼン初心者の僕の水銀燈口調とて多分同じだろうと思うので、

あえてツッコまないようにしよう。僕も少ない情報の中で自分なりの

水銀燈口調を考えました。生暖かく見守ってやって下さい。



  あらぁ……居たの、真紅? クスクス……ほんっとぉに……おばかさぁんv

  並んでいるのは私よ? 家でボヤッとしているアナタの方が……クスクス、

  ジャンクらしいじゃなぁい?



とりあえずローゼン用語を入れときゃソレっぽくなるだろうという、

考えの下で、僕の水銀燈は構成されていきます。

ちなみに、僕はアドレス帳のHideの名前欄を、既に「真紅」に書き換えています。



  あなたはまだ自分の立場がわかってないのかしら水銀燈?

  私は家でお父様にお仕えしているのよ。でもあなたはどう?

  お父様の命令とはいえ、トイザらスの前で徹夜で並んでいるだけだわ。

  ただ並んでいるだけなんて誰でもできるわ。

  あなたのほうがよっぽどジャンクよ水銀燈。



Hideの脳内では、真紅は桜田家にはいないという事になっているようです。

向こうもこちらの「DSを買う事がローゼンメイデンに与えられた使命」という

トンデモ設定に対抗しうる設定をしてしまいました。

「お父様」って、まだ登場してないんじゃなかったっけ?

それにしても、「あなたのほうがよっぽどジャンクよ」ということは、

少なくともトロイメントの真紅ではありませんね! 徹底抗戦の構えでしょうか?



  ……うるさいっ……! いいこと、真紅? お父様の願いなら、

  例え誰でもできることでも迷わずにやり遂げてみせる……

  それがローゼンメイデンなのよ!

  アナタがいくらお父様にお仕えしていたって……クククッ……DSは

  手に入らないのよぉ……v 状況が見えていないのはどっちかしらぁ……?

  オツムのネジが緩んでるんじゃなぁい……? クスクス……



皆さん、ブラウザの「閉じる」を押さないで、どうか押さないで!


僕もそろそろノリノリですが、やっぱりDSを買うのは全く

ローゼンメイデンではないと思います。


ああ、かたや毛布に2人で包まり、甘く暖かな夜を過ごすカップルがいるこの

トイザらス前で、寒風に吹かれながら黙々と水銀燈ごっこに勤しむ僕は

一体何なんでしょうか? ちなみにローゼンなりきりチャットはここから

不毛な押し問答が延々と繰り返されるわけですが、

午前4時ごろに遂にHideが寝落ち。僕の送った水銀燈メールは、

返ってこなくなりました。実に3時間以上に及ぶ激闘でありました。


  真紅ぅ? ……もしかして、寝ちゃったのぉ? ンフフッ……

  張り合いの無いコ……だらしなぁいのね……私の勝ちかしらぁ……?

  ウフフッ……アハハッ……アハハハハッ……vvv





アフターケアはバッチリの筈です。





そこからまたヒマになったので、シスプリのポケットストーリーズを読んだり、

弟の携帯に「イエーイ、チンコチンコー」と送ってみたりしてみました。

テンパッてるなぁ。



ながいながい順番待ちの末に、ようやく整理券が配布され、僕はDSを

買う権利を得て家路につくのでした。Liteのほうは売り切れで、僕が買ったのは

旧式のDS。全部で160台しか入荷していなくて、僕の番号は138でした。危ない!



そして、家に帰れば満面の笑みを浮かべる弟。

徹夜して頑張った甲斐があった!



しかし、改めて自分の携帯電話のメール履歴を見てみると、

延々と繰り返される真紅と水銀燈のやりとりの痛々しい形跡。

正に、夜中に書いたラブレター並の狂気がそこにはあったのであります。



弟の笑顔の為に、何か大切なものを失った……

そんな気がしてならない、此度のニンテンドーDS購入なのでした。


 

2006/3/17

「夢の中の庭師」にサークル参加する為、早速サイトの方から

申込書を印刷しようと思ったら、家のプリンタがツブれていた。


ちょっと滅茶苦茶に扱い過ぎたせいか、黒のインクが出てこない。

以前B4の紙が大き過ぎるので、そのまま二つ折りにして給紙口に突っ込んだ

大層デンジャラスな音を立てて紙詰まりを起こしてしまったのだ。

パニックを起こした僕は、詰まった紙を腕ずくで引き出した。

EPSONプリンタ、享年6歳……


しかし、手元には新たなる意思が芽生えていたのであった。

合格祝いに何故か塾長がくれたCANONの複合型プリンター!

こいつで早速印刷してやろう。ドレ、付属CDでドライバをインストールして、

プリンタを設定して、印刷! コッコッコッコッコ、プリンタ ガ ニンシキ デキマセン。


PCからの信号を認識しないプリンタとの格闘は2時間に及ぶも、

全く成果は得られず。PCがいいかげんポンコツなので、

フリーズと強制終了の連続。

キィィィィ! 言う事を聞きやがれですぅ、このポンコツぱそこん!

僕の中の翠星石だってとっくにキレています。

再インストールのためにアンインストールしようとしても受けつけない、

そんな不条理を目の前にして、僕はPCの寿命を思いました。

お前も行くのか、EPSONと同じ所へ……!

いやしかし、機械オンチってこういう事をいうのかしら。


しょうがないので、急遽隣町のネットカフェに行って印刷することになりました。

ハァー、普通に印刷すればタダ同然の所を、何故300円もかけなければ

ならんのかと、自分の機械オンチぶりを呪いつつ自転車をこぐ。

外は若干雨降り。冷たい雨に打たれて自転車を走らせながら僕は思った。

「別に今日行かなくても良かったのではないか……?」と。

いや、しかし、僕の中の翠星石がせっついてくるのだから、

やっぱり行かなくてはならなかったのです。


で、ネット喫茶に入店。軽い登録を済ませて個室に。


印刷自体は1分足らずでチャッチャと終わってしまうので、残りの

29分をどうやって潰すかを考えていたら、

「マンガが沢山あるなら、そこからローゼンを探せばいいじゃない」

と、僕の中のマリー・アントワネットは呟きました。


そして、念願の2巻以降を読むことが叶って僕は満足です。

6巻まで行きたかったのですが、何故か5巻だけ無かったので

4巻で止めておきました。口惜しいが、しかし、しょうがないことなのだ……。


ブログの方に覚え書きを入力しておいて、資料用に参照できるように

しておきます。なにしろ超速読したので、細かい所はメモッておかないと

どうしようもありません。


結局1時間ぐらい滞在してしまって、印刷した紙を求人誌に挟んで防水

した上で帰宅します。またも雨に濡れて……これが水も滴る(以下略


弟に「そんなに濡れてまで行く必要があったのか?」

と言われましたが、しかし、「俺の中の翠星石が〜」とは、

流石に言えないのでありました。




 

2006/4/8


「ふう、とりあえずPC環境復旧作業も終了だ」

「東京の新居……なんかアーバンな雰囲気かと思ったら、
     ミョーに閑静としてるもんだからビックリしたよ」

「そうだな……しかし、自転車移動30分で一気に都会に
    アクセス
できるのもまた、東京ならではかな?」

「大阪とは勝手が違うな。ちょっとお笑いブームでお笑い民族として
    調子に乗っていた
が、やっぱり大阪はローカルだよ」

「とりあえず今に至るまでの様子をちょっと書いておくか」

「東京到着から9日間、大体こんな感じでした……」

・・・




おお、ついに俺は共学校にやってきたのか……!




苦節、3年。



男子校生活の3年の中で、いつしか教室の半分が女子という環境が

異常に思えるという脳の仕組みが出来上がり、合コンなどという浮ついた

機会も無く悶々と3年間を過ごした俺にとって、この入学式前日ガイダンスでの

光景は、ちょっと涙ぐんでしまいそうになるものだった。


「ああ、俺はようやくこういうマトモな環境に通う事ができるのか……」


感動に浸りながら開場を待っていると、ある事に気がついた。


受験票が無いのである


ああっ! 入場に必要なものを忘れるとは、一体これはどういう

幸先の悪さだ!? 慌てて再発行へ向かう。無事に手続きを済ませて、

改めて講堂に……これでようやく一安心、と、思って席につく。

しかし、俺の身に受験票忘却以上にビックリする事態が降りかかった。


隣に座っている女の子がやたら可愛い……


違う! これはいわゆる「男子校補正」(男子校に長く居た為、少々ブスでも

可愛く見える現象)ではないのだ! ほんとうに……なんというか……

スタンドを感じるのだ。


ちょっとこれは予定外である。俺の予定によれば、ちょっとづつ

女性に対するコミュニケーションスキルを磨いた上でこういう人に出会うという

筋であった筈が、一気に予定が早まってしまった


入学式の前に、俺はずっと考えていた。

「とりあえず隣に座っているのが女の子だったら、話しかけて友達になる」

いや、別に男でも構わないんだが、なんとなく今までの経験上

男友達というのは放っておいてもできるものであるし、なんだか

こういう所に来たら女の子と喋らないとソンな気がするのである。

だいいち、男となら18年間嫌という程喋っているのである。


しかし、いきなりこれはハードルが高い。

チクショウ……こんなド真ん中直球ストライク球を放られるとはまさか

夢にも思わんかった。悲しんで良いのか喜んでいいのかってやつだ。


何を話せばいいものか、俺の頭は大混乱である。

いきなり初対面の人間に話しかける事ってあるか?

きっかけ、そう、きっかけが無ければ物事は始まらないのである。


色々脳内検索してみた結果、

「ペンを借りる」

という非常にベタな所で結論が出た。筆記用具とメモ帳なんてのは、

本当は常時装備(いつでもネタと絵が描けるように)なんだが、

まぁこの時ばかりはウソも方便である。


その後の状況を実況中継するのもいいのだが、面倒な上に

あんまり面白くないので割愛する。


とりあえず、その人も関西の方から来たらしく、6年間女子校

こういう環境に戸惑っているということだった。

神様、こんな好条件を用意してくだすって本当にありがとう。

同じ関西出身ということで、電車の中で聞く標準語に戸惑うとか、

そういう話ができた。受験票忘れて正解だったなこれは。


「俺? 結構梅田とか難波とかで買い物するよ」


まぁこういうウソをいくらかついたが、流石に難波の隣にある

日本橋のメイドカフェに入り浸りだったとかそういう事をいうわけにもいかんし、

オタクだからといって難波で買い物したことがないわけではないのである。

圧倒的に日本橋の割合が多いだけであって……決して梅田や難波に

行ったことが無いわけではない。モノは言いようなのだ。


無事にメールアドレスも教えて貰って、幸先の良いスタートになった。

いやよかった、今日のための訓練は無駄ではなかったのだ……

(訓練……大尉は、女の子の前ではアガッてしまって喋れないというのを

克服する為に、割と話せるメイド喫茶で会話訓練をしていたのである!

この修行法は、みうらじゅん氏がキャバクラでトーク術を磨いたという体験談から学んだ)


この事を、友人のHide(今は九州の超国際的大学に在籍)に

メールで話すと、「オレの家に今、女の子が遊びに来てる」という

トンでもない内容が返信されてきた。やつめ! 早速九州に適応している。


この一件で調子に乗った俺は、色々とまぁ話しかける事を敢行したが、

最初の神戸の人以外はなんかこう、サバサバしていてよくなかった。

やはり東京が地元の人間というのはドライなのか……?

(後で上京組の高校時代の友人とマクドで話していたら、やはり

『東京の女は冷たい』ということで合意に達した。みんなも新天地で苦労してるな……!)


ところで、女の子と話している時の俺のウカれようといったら、

それはもうエラいものであった。具体的に言うと、その瞬間だけ俺の脳内から

四葉とか翠星石とかいう言葉が完全に消えていた。

ああ、これが三次元の存在感ってヤツなのか……?

それとも俺のオタク度がまだ薄いのか……?

入学式? いまいち……覚えていないな。



後でHideからその話を聞いたらしく、友人のA.E.は、メールで


「おい、その女はヤバい、やめとけ。お前またツボ買わされるぞ」

とか

「また監禁か? 同志・小林薫(幼女殺人犯)の所に行きたいんか?」

とか

「わかったわかった。またいつもの妄想やな。四葉と同じで

お前にしか見えへん女の子やろ? 現実にかえってこい


……とか、一体お前はどんだけ俺のキャラをトンでもない方向に

もっていってんねんと言いたくなるような内容を送ってきおったのであった。

俺の出会う女は詐欺師か妄想かどっちかしかないのか!?


・・・

「大体こんな感じだったらしい」

「オイ! 1日分しか書いてないじゃないか」

「まぁ引っ越したからといってそんなイベントが
    あるわけでなし。
大体、ここまではこんな感じの生活だ」



3/31…前日ガイダンス

4/1…入学式

4/2…学部別入学式

4/3…地元探険

4/4…科目登録

4/5…高校同級生上京組とカラオケ&マクド

4/6…学校探険

4/7…第二回科目登録


「いくらなんでも、地元探険で一日が潰せるわけではないだろ」

「後は、ようやく再版されたローゼンを買い漁って読みふけったり、
    エロ本補充に出掛けたり……それぐらいかな」

「意外と何もできないものだな」

「新生活というのはえてしてそういうものなのだ。一日が終わるのは
    早いが、どうも4月が終わるまで長い気がしてしまう」

「で、例の女の子とは今どうなってる?」

メールの返信が遅いとかで、じりじりしてる。まぁ、
    返ってくるだけでもなんぼかありがたいが……」

「まぁ少なくとも、まだ即レスが貰えるような身分ではないか……」

「長いな……キモメン坂」

「4年間、どうか心がこれ以上捻じ曲がらない事を祈るばかりだ」




 

2006/4/17

とりあえず大阪を離れ、俺も進学の為に東京で一人暮らしか……と

思いきや、親父の東京支社転勤が決まった事によって、

俺は親父と奇妙な二人暮しを始めるのであった。


毎日親父とはつかず離れずの生活をしている。食事の時にボチボチ会話は

するが、それ以外の時は大体親父はリビングでテレビ、俺は自室で

映画鑑賞という状態である。


風呂掃除以外の家事一切は親父がやってくれるのでありがたい。

親父は料理が妙に上手いので、メシの面では特に助かっている。

24時間自由にAVとアニメが見られる環境でないというのはいささか面倒だが、

まぁしかし適度に自由な環境で適度に保護されているというのは

中々住み心地が良い。


しかし、時折は親父が夜遅かったり俺の帰宅が昼だったりする時があって、

その時は食費削減という名目の下、自炊をすることになる。


料理は好きである。別に得意ではないが好きである。

スーパーの食材を見ながら調味料をアレコレ考えて工夫するのは

どこか創作に通じるものがあるのだろうか?(もちろん食器洗いは大嫌いだ)



ある日の晩御飯。

・鶏とキャベツのガーリック焼き

・きのこのソテー

・納豆


中々できばえは満更でもない。というか、ヘタするとうちのオカンと

ほぼ同じクオリティである。その事に気付いた時、俺は戦慄した。

もしや、俺はオカンを超える料理人になるのではないか……と!

(ちなみに、うちのオカンは家事の中で唯一料理だけがダメである)

計算(?)された栄養バランス! 濃過ぎない味付け、

なるほどウンコもバッチリである。自分の裁量で作れるヘルシーライフ、

俺は自分の技量とセンスにちょっとうっとりした。


ちなみに俺のキャパシティというのは炒め物全般であり、

煮物辺りは作ったことが無いし魚の焼き方も知らない。

いわばメラを覚えたばかりの魔法使い、もしくは

ガンタンクを作ったばかりの地球連邦軍といった風情なのであるが、

調子に乗ってしまう性分だけに、いちいち料理が出来るのが嬉しいのである。



・焼きうどん……のつもり。


が、もちろん失敗する時もある。


味覚のイメージをしくじった。焼きうどんの具に選んだのは

・もやし ・しいたけ ・にんじん ・しめじ である。

冷蔵庫にあったものを適当に投入して作った料理であるが、

その味、見た目、共に鳥のエサにもならんような代物であった。

微妙な具材の味の混ざり具合が不協和音を奏でる、

デキの悪い学校給食のようなていである。



このうどんを完食した時は、なんだか腹の奥から生焼けくさいシイタケの

臭いがこみあげてきてゲンナリしてしまった。

おやつのつもりで買ってきた特売品のカップあんみつが口直しになったが、

人生で初めてあんみつが神々しく見えた。



かくして、ここから俺の料理人伝説が……始まらない。



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