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2006/5/14

「それでさー、この前シャコエビむいてたら指切っちゃって」

「なんでシャコエビなんだよw まぁ、アブネーわな。
      圧力鍋とかで茹でたらちょっとは柔らかくなるか?」

「いやー、無理じゃない?」

「シャコエビやべぇよ、人間の食い物じゃないよw」

「人間の食い物じゃないw」



・・・


「先輩、もう午後1時回ってますよ」

「うーん、いや、シャコエビがだな……」

「シャコだかなんだか知りませんが、休日に寝すぎるのは
     かえって損ですよ。攻殻2ndGIGのDVD借りてきたから見ましょう」

「……俺、もしかして今まで夢見てた?」

「またさゆりさんシリーズですか……」



・・・


「思うんだが、やっぱり俺達はオトナにならなきゃダメだよ」

「ちょっと前まで『俺は社会のていの良いコマにはならん!』
     わめいていた人が何を……」

「小林よ、コドモ信奉の時代は終わりだ」

「はぁ、コドモ信奉ですか」

「確かに世にいう天才というのはえてして純粋な感性を大事に
      するものであるが、この時代にあって、もう『純粋=価値』では
      なくなった
ということに気づいたよ」

「最近書店の方では最近の新社会人や学生の自己中ぶりを
     嘆く本がよく見られますねぇ」

コドモが増えたんだよな、コドモが。今じゃ犬も歩けば棒に当たると
      いわんばかりに、ネットでもメンヘラどものサイトなんて簡単に
      行き着くことができる

「まぁ中の人も立派なメンヘラですからね」

自己愛障害のチェックシートに殆ど該当してるなんて絶望的だよ。
      そんな事だから女子からもことごとく嫌われるのだ」

「コドモの増加ですか……いわゆるエヴァブームに端を発する
     『セカイ系』の増加だとか、アキバ系に注目が集まるのにも
     関係があるんでしょうかね」

「俺の予想によれば、アキバ野郎はもっともっと増えていく筈だ。
      この時世、少し昔と比べて遥かにバーチャル漬けになり易いからな」

リアル感覚の欠如によるコミュニケーションスキルの低下ですか」

「俺の持ってるエロ雑誌のコラムでも、彼女できる奴とできない奴の
      『格差』が広がってる
って書いてあったよ」

「まぁそれは『電波男』でも述べられた通り……」

「この二極化現象、つまりは『オトナが減ってコドモが増えた』
      解釈できないだろうか……?」

「なんだか久々にマトモな事言ってますよね。それで、どうして
     コドモ脱却に結びつくんですか?」

俺はカウンターカルチャーが好きだ。マイノリティに与する事は
      少し冒険しているようで楽しい……今まではいわゆる
      『アダルトチルドレン』ってのが丁度ソレだったハズなんだよ」

カウンターとか言ってる辺りでまだコドモだとは思うんですけど……」

「しかし、コドモが増えて、アダルトチルドレンがマジョリティ化
      してしまったのなら、それはもうファッションとしての意味をなさない

「きょうびはね、ちょっとした人なら普通に筋少聴いてますよ」

そういう事ではいかんのだ。俺はフツーの大人になるのはゴメンだと
      思っていたが、フツーの子供になるのはもっと嫌だ

「多少迫害されてもコドモを貫くつもりだったのでは?」

「いや、わかったんだよ……コドモを貫ける程の才覚は俺には無い

「コドモを貫く才覚、ですか」

「尾崎豊! かまち! シド・ヴィシャス! 文化系少年のカリスマは、
      皆豊かな才覚によってコドモであることを許されていた
のだ」

「しかし、我々にそういうものは無かった……と」

「悲しいが、才能の無い子供に値打ちなど無いのだ。
      そいつがオトナになれば、多分使いようが生まれるが」

「親のスネかじってる内はコドモのままでも大丈夫ですけど、
     この不況ですし、アダルトチルドレン続けるのも難しそうですよね」

所詮コドモでいることというのは豊かな社会の特権なのだ……
      今はそんなに豊かじゃないし、中世ルネサンスの時代とは違って
      あまりコドモの感性(人文主義)というものは資本家の嗜好には
      合わないらしい」

「今、自虐モードなのか他虐モードなのか微妙ですよね……」

「前に自己分析をした通り、俺は個人技でどうこうしても底が見える
      俺が覚えるべきこと……それは、チームワークだよ」

中の人が物凄く嫌いな言葉じゃないですか」

「まぁ確かにチームワークなんて俺は大嫌いだよ。小学生の頃に
      サッカーがヘタだったから、授業がある度に目の敵にされて、
      『チームワーク=苦痛』ってインプットされた
からな」

「長距離走とかは比較的好きでしたよね。ただ走ってれば良いから」

「だがしかし、個人技で底が見えたとなると、もはや俺は使い物には
      ならんのだ。チームワークを覚えなければ社会的に死ぬ

生きるか死ぬかを緩慢に突きつけられた、と」

「それになぁ小林、このままでは本当に
    魔法使いになってしまう
ぞ」

結局それですか。通りで急に『オトナになる!』とか言い出すわけだ」

「恥ずかしい話だが、俺の志は性欲の前に屈したよ」

「難儀ですね、良くも悪くも童貞力で動くというのは……」

「というわけで、一昨日は映画研究会に入会してきたよ」

「え!? 例の妹研究会じゃないんですか」

「いや、チームワークを覚えるには映画研究会だし、
      男女比3:2というのには抗えなかった

「まぁ妹研究会には未来がありませんから……」

「妹研究会、食事会はすげぇー楽しかったんだけど、
      同時にここに入ったら確実にダメになると思ったよ」

易しい道は楽しいですからね」

「だが、俺はゲームはクリアできないとわかっていながらVeryHardで
      やらなければ気が済まない
男。たとい映画研究会が
      チームワークの世界で、かつ女子勢はどうもオシャレオーラが出ていて
      近づきがたい、としても、立ち向かうのだ!」

「なんていうか、コドモ卒業できたらいいですね」

「さようなら、ピーターパン。こんにちは、ウェンディ!」

「名言っぽく言ったつもりでしょうけど、よく意味がわかりませんよ

「とにかく、俺はやるぜ」

「わかりましたよ。で、とりあえず今週のカブトはどうするんですか?

「サソードは見なきゃダメだろ、サソードは!!」



「コイツ本当にやる気あんのかよ……」


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