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2006/4/16



出たいッ! 流石にこれに参加できる環境にあって参加しないのは
     兄じゃない!!
先輩、これも出てはいけないのですか!?」

ならん! 小林、ツラいだろうが大学時代の同人は禁止だ」

「やっぱり映画とか観る方が有意義だって言うんですか」

「いいか小林、別にお前が書かなくても上手い人はゴマンとおるのだ。
      そういう誰でもできる仕事をわざわざやる必要は無い

「でもやっぱり兄として、こういう場で表現したいじゃないですか」

「何が表現だ! どうせ適当にお仲間作ってツルみたいだけだろう」

「そ、そんなことは……」

「だいいち、ネット文明花開くこの時勢にわざわざ本を刷る事自体に
      必然性を見出せないお前に本を刷る資格などこれっぽっちもない!

「しかし、そんな同人誌だって読者はそこそこできるものです」

「そういうのを馴れ合いとか自己満足とか言うのだ。前にも言ったろう、
      選民思想を噛み締めて我慢するんだよ!

「それでもし何もできない人で終わったらただの笑いモンですよ!」

All or Nothing! 真剣勝負の世界は非情だ……だから、
      同人は社会人編に突入してからやれというのだ」

「イベントの当日に映画でも観ていろと? 先輩……留守番組が
     どれだけオフレポを見るのが辛いか
知ってますか?」

「それならば、その時期だけサイト巡回の時間を映画鑑賞の
      時間に割けば良い」

「映画映画って……別に映画監督になるわけでもないのに、
     どうしてそんなに映画にこだわるんですか?」

「だって同人やらなかったらそれぐらいしかやること無いじゃないか」

「消極的だ!」

「いや待て小林、映画を観ることは文化人として欠かしてはならん事だ。
      大体、デキるクリエイターというのは映画に関しても造詣が深い。
      レベルアップへの道は映画にありといっても過言ではない」

「まぁ大槻ケンヂなんかはかなりの映画フリークですよね」

「お前もそこそこ映画を観るようになればわかると思うが、結構
      現代の映像作品でも映画の古典のオマージュが見える時がある」

「つまり、映画を観る人でなければ理解できないネタがある、と?」

「そういうことだ。いわば共通言語、教養としての映画が
      次のステップに行くオタクには必須
だということさ」

・・・

「小林、アニメは好きか?」

「まぁ好きですけど、ただ……」

「?」

ハマれないですねぇ。やっぱり中学生ぐらいの頃がピークか」

「そんなもんだよ小林、『萌え萌え!』とかいって喜んでいられるのは
      中高生の特権であって、それ以降にもなってそんな事が言えるのは
      ちょっとおかしいのだ」

「ということは、中高生がオタクの黄金期?」

「それは99%有り得ない事だよ小林。中高生の時期というのは、
      いわゆる幼児期のようなものであって、今後の成長の方針が
      決定される時期に過ぎないのだ」

「となると、それ以降はどういう楽しみ方ができるんですか」

「うむ、やはり演出を楽しむということかな」

「えんしゅつをたのしむ?」

「各所で春の新アニメの感想・キャプ合戦が激しいが、実際そこで
      取り上げられているアニメで視聴するのに足るアニメなんて
      1割にも満たない
よ」

「面白いやつ今期は多いじゃないですか」

「まぁハルヒ第一話は素晴らしかったよ。ただ、その他のアニメは
      別に、面白いけど改めて楽しみにするほどじゃ無いっつうか」

「面白いなら見れば良いのに……」

「そういうわけにもいかん。萌えたい、チャットで実況したい、そういう
      欲求があるのなら話は別だが、もっと深く味わいたいと思うのなら
      むしろレンタルビデオ屋に行った方が有意義だ」

「みんなが楽しんでいる横で、旧作アニメを借りるんですか?」

純粋に面白いアニメが見たけりゃ、機動戦艦ナデシコとか
      借りれば良いんだよ。
あれよりスゴいアニメって、中々地上波じゃ
      お目にかかれない」

「言われてみれば……」

「いいか、既に『物語の展開』や『キャラクター』というのは古典で
      出尽くしている
のだ。今現在流通しているシナリオというのは、
      そういうものの配列や演出をイジッたものに過ぎない」

「確かに元を辿ればみんな古典作品のパクリですね」

「まぁ、要は『趣向』の世界……詳しくは岡田斗司夫先生の
     『オタク学入門』を読めばわかると思う」

「そういえば最近、スタッフロールで声優の所だけじゃなくて
     脚本とか監督とかを見るようになりましたね」

「自然とそういう流れになるんだよな……誰に教えられたわけでもなく、
      勝手に嗅覚が形成されていくというか」

「中高生の頃に『新作アニメはすべからくチェック!』とかいって
     撮りまくってると、なんかわかってきますよね」

「もはやストーリーとキャラクターだけ提示してくるような作品は
      アカンのだ……演出! この一言に尽きる。これでアニメを
      選べれば、洪水のように現れる新アニメもバッサバッサと取捨選択が
      できるというものだ」

「……でも、ARIAは見るんでしょ?」

「うっ……それはだな……」

「不思議ですね、特にこれといって目新しいわけでもないのに、
     どういうわけかハマッてしまうものがある」

「まぁなんだかんだで我々も不勉強だから、見落としている重要な
      面白さがあるのかもしれん」

「しかし、その辺りの取捨選択というのはアニメ以外にも
     言えそうな事ですよね」

「うむ。最近はドラマでも『色モノ』が高視聴率を取るものだし、
      ネットにおける創作にしたって同じことが言える」

「ネットですか」

「『Fuck! どうしてこいつこんなに上手ェんだよ!?』とか言いたくなる
      絵師は腐るほどネットではウヨウヨしているが、その中で
      ちゃんとメシが食えるのは一握りだ」

「上手い人はなんぼでもいますね」

「単純に絵を描くだけならなんぼでも上手い人が出てくる!
      しかし、そこから更に一歩抜きん出るのに必要なのはやはり、
      独特の世界観とかに尽きると思うんだな」

「そりゃ創作もそれに気づくと幾らかやっていけない気持ちになりますね」

「難しいぞ、独特の世界観というのは……そこで、映画というわけだ」

「そこでどうして映画が出てくるんですか」

映画は金がかかるものだ。そこには、ありとあらゆる世界が
      詰まっている。どこかの評論家が言うように、面白くない映画なんて
      無い
とまで言うぐらいだから、学ぶべきエッセンスも詰まっていると
      いうものだ」

「野心と技術の結晶ってヤツですか」

「それはあたかも、店のショーウィンドウに並ぶ高価な服を見本にして
      廉価な服でコーディネイトをしていくような行為。そして、そこから
      次のファッションを生み出す人間が現れるのだ」

「なるほど……それじゃあ早速、ビデオ屋ですね!」

「ああ!」

・・・

借りてきた映画

・フランキーの宇宙人

・兵隊やくざ

・あゝ同期の桜

・フルメタルジャケット

・勝手にしやがれ

・明日は明日の風が吹く



「まぁおよそ半分が戦争映画なわけですよ」

「……どうしても趣味嗜好で借りるとなぁ」

「こんなのでホントに次世代のクリエイターになれるんですか!?
     さっきから男のケツしか映ってませんよ」

「黙って見ていろ小林! このケツがお前を次へと導くのだ!!

「間違ってる……やっぱりどこかで間違っている気がする……」



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