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2006/4/11


・行け! 我世太大学童貞組・



「ついに俺も花のガセダ大生……感動的だなぁ」

「小林……お前も大学生か。早いものだな」

「先輩とは同じ大学ですから、またお世話になります」

「ああ、そうだな……ところで、お前大学に入ったらどうするつもりだ?」

「ハハハ、そりゃ授業もそこそこに目いっぱい遊んで、サークルとかも
     入って、彼女とかも作る予定ですよ」

このケツ毛野郎! お前のような学生が日本をダメにしてしまうのだ」

「先輩……いきなりそんな頭の固い事を言わないで下さいよ
     だいいち、ケツ毛野郎って何ですか

「学校のテーマパーク化という現象を地で行くような回答をしやがって、
     お前には日本の未来を背負ってたつエリートという意識が無いのか」

「エリートといわれても、いまいちピンときませんね」

「確かに全入時代に突入した現在だが、まぁ俺もお前も一応
     ソコソコの大学に受かってるんだから、エリートといえばエリートなのだ」

「そんなもんですか」

「そういう意識が社会に無いのは、えてして大学生がボンクラだからだ」

「ボンクラ……?」

「いいか小林、大学生になったからといって安易にサークルなんぞに
     入るべきではないし、アルバイトもしてはならん。
自由に遊べる時間で
     あるからこそ、芸術に触れて教養を磨き、勉強に励み知識を蓄える
     機会になるのだ」

「勉強こそソコソコで良いでしょう。あんまり浮世離れした事ばかり
     していては、孤立するいっぽうですよ」

ひとりぼっちは恥ずかしい事ではない。だいいち、お前は
      そんなにフツーの生活にあこがれているというのか?」

「フツーの生活に憧れ?」

「大学時代に遊び呆けるということは、つまり無害で無知なる
      一般大衆……衆愚になり下がる事だとは思わないか」

「どうしてそういう事になるんですか」

「大学時代、フツーに勉強してフツーに遊ぶというのは、つまり
      まぁ誰でもやってることなワケだ。そんな事をしていても、
      お前の真の個性は自立することはない。目に見えている」

「確かに……誰でもやることをやってもしょうがないとは思いますね」

「お前も時代の寵児になりたいと願うのならば、大学生活は飛びぬけて
     エキセントリックに過ごさなくてはどうにもならん!

     社会の奴隷に成り下がった衆愚になりたくなければな……」

「先輩、それは大いに良い事だと思います。しかし……問題がひとつ」

「何だ?」

「彼女ができません」

「……それは、そんなに大切な事なのか……?」

「先輩、僕もまぁ高校時代は地味にやってきたわけですよ。
     大学に入ったら一花咲かせようと思っていた……それなのに、
     いきなりそんな世捨て人みたいな生活ができますか?」

普通は彼女なんて当たり前のように作れるものであるからして、
      大学時代に女と付き合っている奴も衆愚だ

「先輩、そろそろトンデモ理論ですよ……!」

小林よ、童貞を守るのだ! お前が社会に出てから異彩を放つ
     オンリーワンになろうと思うのなら、下手に童貞を捨てて童貞の心を
     忘れてしまうというのは、取り返しのつかない失態
だ」

「先輩、なんか電波男みたいな文章になってますよ……」

「小林よ……今こそ非モテから拒モテへのメタモルフォーゼ
      必要なのだ。明日を勝ち取る為のな!」

「そりゃトンデモはトンデモなりに頷ける所もあります。しかし、
     どうしようもなく人肌が恋しい夜だってあるのです」

「選民思想を噛み締めろ!」

「せ、選民思想……?」

「古代、ユダヤ人が異民族からの迫害に耐えてこられたのは何故か?
      それは、自分達が選ばれた民族であるから、最終的には
      自分達だけ助かると信じていたから
だ」

「どうして彼女云々の話にユダヤ教の話が出てくるんだ……」

「小林よ、『青春時代の輝き』なんてのは、所詮マスゴミどもが
      騒ぎ立てるクズのような情報に過ぎないのだ。この、
      青春時代という概念自体がチンカスだという事に気付くが良い」

「でも、そういう生活を送ったからといって、僕のサクセスが
     保障されてるわけじゃない
でしょう」

「常に危険そうな道を選ぶ事、自分の運に身を任せる事が
      人生において最もスリリングな事であると、巨匠・岡本太郎は言っていた。
      小林……お前も平々凡々で一生を過ごしたくないと願う男ならば、
      自分の可能性に賭ける事が最高に面白いではないか」

「自分にしか送れない人生を送れ……ですね」

「だいいち、お前のようなさえない男が大学で女に走ったところで、
      どうせ目先の性欲に負けて野暮な女を引っ掛けてしまうのが関の山。
      理想が高いのなら、理想に追い付く為に自分を高める事だ

「妥協しない生き方、それもカッコ良いですね……!」

「お前が世の中を覗く時、お前にしか見えない世界が広がっていたら
      どれだけ素晴らしいかって事だよ。その時、何者でもない自分自身、
      誰にも負けないものが生まれる
ってものだ」

「なるほど……わかりました。ただ……」

「ただ……?」

「本当に先輩は童貞のままで良いんですか?」

「ううっ!」

「世の中不思議なもんで、まぁどんな男でも需要ってのがあるものです。
     先輩はもしも修行の最中に千載一隅のチャンスがやってきた時、
     その誘惑に耐えられますか?」

武士はくわねど高楊枝! 惜しくなど……無い!!」

「先輩、歯茎から血が……」

「小林よ、本田透先生の言葉ではないが、我々はもはや
      引き返しがたい所まで来てしまっている
のだ」

「……薄々僕もそう思い始めていましたが、やはり……」

このトシになってくると、大抵の女の子は一度や二度くらい
      彼氏を作っているものだし、そうなってくると我々のような
      青春時代負け組は苦戦を強いられる」

「流石に恋愛ビギナーというのがバレるのは恥ずかしいですね」

前の男と比べられたらタマッたものではないではないか……
      気の利いたエスコートなんて俺にはできないし、だいいち
      遊び方というのもよくわからん

「僕達の遊びといえば、まぁポンチ絵とかプラモとか古本屋巡りとか、
     そういう自分の世界にひきこもる系が中心でしたからね」

「そりゃ俺だってスポーツができれば今頃は合コンでフットサルとかを
      やっていたかもしれん。だが、もう駄目だ。気付けば俺はガチガチの
      文化系人間
になっていたのだ……。」

「……で、行き着いた先がユダヤ教?

小林よ、腹を括るのだ。もう我々は引き返せない!

「先輩、股間から血尿が……」



つづくかな?



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