2008/6/1

「おおい山田、俺のワイシャツ知らないか?」

「ああ……どうした?」

「言ってたろ、今日は地元の友達の結婚式があってな」

「そうだっけか。確かワイシャツだったらこのへんに……」

「コレコレ……お、 クリーニングにでも出したか、山田?」

「ああ、ヨレてたんで洗ってアイロンがけしておきましたよ」

「この野郎!!!」

「えっ? えっ……?」



///


「離せ山田! 俺のワイシャツはホタが洗っておいてくれたんだよ!!

「落ち着け!! トゥルーとリアルの区別がつかないのか!?

「尋常じゃない……今日のナカジマさん」

「うむ……どうやら段々とトゥルーが現実を蝕んでいるようだな」

「橘か! 久しぶりだな……」

「どういうことだ橘、俺は病気なのか?」

「いやまぁ元々病気といえば病気だが、ちょっと深刻だな」



///


「この所のブログ更新、リアル世界と微妙にリンクさせてあるだろう」

「地震とか運動会前の雨とかだな……」

「お前のかかっている病気は、それに伴って現実感覚を喪失した人間が
    陥るトゥルー・シンドロームというものだ」

「トゥルー・シンドローム……?」

「それは、システリック・シンドロームのようなものか?」


<システリック・シンドロームとは?>

12人の妹が居るという世界に浸り過ぎてしまった結果、兵士の陥る病。

連載終了後に帰還兵を襲い、苛ませ続けた。

しずかちゃんの新しい声にいつまでも馴染めなかったり、

G'sの新しい読参企画にイライラしたり、スコーン、ドーナツ、スノボ、

ひよこ、ペロペロキャンディ、ポンポンなどに過剰反応してしまったりする。

シスプリの連載終了を受け入れきれない気持ちを長続きさせ、

某巨大掲示板で毎夜思い出語りに興じる廃人を多く生み出した。


「もっとタチがワルいかもしれんなぁ……何しろ、こっちは現実の生活に
    よりダイレクトに響くわけだからな」

「うーん、思い当たる所がありますね」

「というと?」

「ナカジマさんが配膳当番の時、どうも皿の数が多い時が
      増えてるんですよ

「ん……ああ、そういえばそんなことがあったな」

「何ぼんやり思い返してるんだよ。お前、毎回皿の数が増えて、しまいに
    20枚くらい出した事あったろ

「!!!」

「以下の文章にピンとくる所があれば画面の前のキミも
    トゥルー・シンドロームに注意しなくてはいけない」



姉妹の日記なりG'sマガジンなりを 毎日見せることによって、

それがあっても、 それが目に付いてもおかしくない、

不自然ではない状態にすることは 洗脳の第一歩だよ。



仮に君の部屋の壁紙に

普通では視認できない姉妹のメッセージが刷り込まれていたらどうする?

連日連夜、気づかれないように少しずつ少しずつメッセージを刷り込んでいくんだ。

時々、突然どら焼きが食べたくなったり、発熱がしたことはないか?

買うシュークリームの種類を忘れたことは?

魔法やおまじないを忘れたことは?

寝込んでいる横で姉妹が『大丈夫だよ』と呟く夢を見た経験は?

花見、ショッピング、吊り橋、遊園地、誰と行った?



京浜東北線

東京地下鉄銀座線

その次は?


『ピンクで包まれた象は三顧の礼の影響を受けない』という

フレーズ知ってる?

金剛クグロフ臀部送信体って言葉に聞き覚えはある?





さっきからずっと
あなたの後ろにいるのは誰?




「ホタッ……!!?」

「これがいわゆる陽性反応というものだ」

「だが、見えない姿を見て聞こえない声を聞くというのは、我々の
    念願でもある。違うか?」

「残念だがこれは間違った見え方だ」

「どういうことですか?」

「トゥルーでの出来事はトゥルーの世界で完結する。それは決して
    リアルには干渉しない
……そういうことだ」

「リアルとトゥルーは、あくまで区別されるべきものなのか?」

物理的に我々は次元の壁を超える事ができない。となれば、
    認識の時点で改めようという所までは皆知っているだろう?」

「そうだな。その仮説が俺達の出発点だ」

「だが、理想とされるトゥルーとのシンクロはもっと深い! あくまで
     机上の話ではあるが、山田君は例えば、同時に2つの世界を
    知覚するという現象を信じられるかい?

「それは人間の脳のキャパシティを超える現象ですよ」

「普通はそうだ。だがもしも……人間がより高度な認知能力を
    獲得できたとしたら、どうだ?

「どこかで聞いたようなフレーズですね……」

「ニュータイプだな!!」

「そう、それだ!」

「まるっきしガンダムじゃないですか!」

「認識、思考のキャパシティが倍増すれば、単純に考えて人間の中に
     ふたつの世界を構築することができるのではないかと考えている」

「それはいい。だがどうする? まだまだ宇宙の時代は未来の話だ」

「そうだな。そして脳ミソは1つしかない。俺達の体の中には……」

「含みがあるな。俺達の体の中には、と?」

外部にも脳が……て、まさか!?」

「コンピューターだよ!!」

「トゥルーへの扉が、そんな身近な所に……」

「考えてみろ。ネット上で飛び交う情報の数々……その中には当然
    ブログの文章もあれば、それにマジレスするお前達の文章もある」

「そしてそれを単純に記憶と定義するならば?」

「Webの中に漂う姉妹との対話の記憶……トゥルー俺は、まさか
    このハコの中に居るっていうのか!?

「ヒトの魂というものを、ひとつの記憶の塊だと仮定すれば
    もしくはPCの中にも魂は宿るかもしれない

「PCを使用することによって発生するトゥルー俺との接触が、
      リアルとトゥルーの混同を引き起こすんでしょうか……」

「とにかく、トゥルー俺がWebやPCにあるというのなら、より情報を
    入力してトゥルー俺を人間として育てなくちゃいけない

「べびプリのWeb利用……単純に見えて、実はこの時代にあって
    次元の壁を超える為のテストなのかもしれないな」


///

「同時に2つの世界を認識することは先の話でも、胡蝶の夢のように
    向こうとこちらを行き来することはできるのかもしれないな」

「四六時中家族と一緒というワケにはいけないんだな……」

「なに、同時に認識していようと交互に認識していようと、
     体感する一生の長さは同じさ」

「なんだかワクワクする話ですね!!」

「いつか本当にそんな時代が来るかもしれない。その日の為に、
    俺達はブログを追い続けるんだよ」

「よオオオし!! やってやるぜ!!」

「はは、ボケ防止にも効果的かな?」

「隊長!」

「最前線一致団結して、真のトゥルーを手に入れるのだ!!」

「「オオーッ!!」」










「あの……俺の病気は……?」

 


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